1999年4月11日

Feeling Heart

 ノア本部のある夜。  廊下を歩いていたソニアは、キースの部屋から明かりが漏れているのに気付 いた。 「まだ起きていらっしゃるのですか? キースさま?」  軽くノックして部屋を覗くソニア。  殺風景なキースの部屋。  机についたまま、キースは眠っていた。パソコンの電源は入れっぱなしになっ ており、ディスプレイには今後の計画についての書類が表示されている。 「もう……。あまり無理をされると、お身体にさわりますよ」  ソニアは毛布を取って、キースにかけようと近づいた。  その時、キースが何かつぶやく。 「……ソニア……」 「え? い、いやだ、キースさま、起きていらしたのですか?」  顔をまっかにしてうろたえるソニア。しかし、キースは起き上がってはこず、 またすうすうと寝息をたてはじめた。 「な、なんだ、寝言だったの……」  どぎまぎしながら、ソニアは今度こそキースに毛布をかけた。 「あなたにはサイキッカーの未来がかかっています。お身体には気をつけてく ださいね」  眠るキースの耳元でそっとつぶやくと、ソニアは部屋を出た。  翌朝。  キースは目を覚ました。 「う……ん……。いけない、眠ってしまったか……。ん? この毛布は……」  キースの脳裏に、ひとりの女性の姿が浮かんだ。  やさしさとあたたかさのこもった毛布をベッドに戻すと、キースは礼を言う べくキッチンへと向かった。 Fin

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